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広報のスペシャリストになるために

オススメ文献【2009/5/29】
小林弘人(著) 「新世紀メディア論−新聞・雑誌が死ぬ前に」

 この本は、コミュニケーション担当者が普段付き合っている「メディア」の現状を的確にわかりやすく解説し、その「メディア」が抱える根本的な問題や将来像を、大きな期待を込めて断じています。
 「誰でもメディア」が全盛のこの時代でも、未だ「ウェブはIT企業、出版は出版社の仕事」「紙に印刷することが出版」と考える多くの出版社。逆にヤフーを始めとする、多くのIT関連企業は自らを「メディア企業」と名乗り始めた。この垣根がなくなるのは時間の問題なはずです。記事や広告においても、企業と出版社の力関係は大きく変化しているのに、気分は昔のまま…出版界に根付く課題が浮き彫りになっています。

 同時に、企業のコミュニケーションでは企業が発したい情報の提供でなく、ユーザーが読みたいストーリーを提供することが必要であり、マスではなくインフルエンサーをねらえと、これからの方向性を指針してくれます。
 また、従来コミュニケーション担当者として位置づけてきた「メディア」の概念の整理と、今後の動向を見据えた活動を考えさせられます。みなさんの自社Webサイトを進化させて「メディア化」するなど、企業のコミュニケーション活動の枠組みを広げることを考えるきっかけとなるかもしれません。

 筆者の小林弘人さんは、月刊「サイゾー」を創刊し、多くのコンテンツ制作、ウェブサービスを立ち上げたメディア愛にあふれる方。メディアへの警告とそのメディアと仕事をする我々に向けた熱いメッセージが満載の本です。本のタイトルにある、「新世紀メディア」とはまさに“雑誌と新聞の先にあるもの”だそうです。
 ただ、この本で1つ残念なのはウェブに嫌悪感を持っていたり、マーケティング嫌いやカタカナが苦手な方には、半分しか読みこなせないだろうと思われる点(笑)。
 とは言え、これから企業のコミュニケーションを背負っていこうと思う方は、ぜひ、インターネットに繋いだパソコンを横に置きながら、お読みください。

 ところで、この本を読んだ後、まさに業界を変革させそうな大きなニュースが2つありました。
 ひとつめは、ブックオフへの大手出版社の出資。利権確保のためのブックオフの解体か?!、取次流通飛ばしの直販開始による業界再編か?!、様々な憶測は後を絶ちませんが、出版業界の大きなフックになることは間違いないでしょう。
 ふたつめは、米国経済紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)日本語版の発行。まさにIT企業SBIグループがブランドメディアのWSJと手を組んでメディア業界でどんな旋風を巻き起こすのか、しっかり推移を見守りたいです。
その前に、WSJ日本語版の記者がみなさんの会社を取材に訪れるのでしょうが。(佐藤)