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広報のスペシャリストになるために

広報業務心得【2009/7/6】
Vol.13 弁護士か広報担当者か

 テレビ番組の影響で弁護士に対するイメージもずいぶん柔らかくなっていますが、企業が弁護士に相談する場面といえば、会社が危機に直面し緊迫している真っ只中です。そこでの彼らの仕事はその案件の法的対応とそのアドバイスですが、メディア対応に口を挟んでくることがあります。
これは、社長をはじめとしたスポークスマンが、訴訟上不利になるような発言をしないようにするためです。過去の有名な謝罪会見でも弁護士を脇に従えて社長が謝っているケースがいくつもありますね。

 しかし、弁護士だけに頼りすぎることは大きな過ちを導く可能性があることを広報担当者は心得ていた方がいいと思います。「法的に問題ない」「違法行為はしていない」という政治家の決まり文句を国民がしらけてみているように、弁護士が望む“杓子定規で画一的な責任を感じていないような対応”や“違法でないという回答“は、記者の反感を買ってしまいます。記者の判断は、道義的におかしいか否かであるし、消費者もそこを見ているのです。法律的に問題なければ、どんなことをしてもいいとは、誰も思っていないのです。
 しかし、それは当然のはずなのに、いざ危機に直面すると社内での争点が「違法か否か」だけとなり、経営者は「士」が付く「先生」の指示に従い、広報担当者の意見に耳を貸してくれなくなります。法律的に間違っていなくても、訴訟に負けない回答をしても、世論を敵に回したら企業は存続できません。責任逃れのような発言は以ての外です。企業はステークホルダーに支えられているという基本を忘れてはいけないはずなのに。
 これは弁護士先生の否定ではありません。先生は正しい仕事をされているわけです。そのアドバイスと“会社経営者としての説明責任”、“企業と社会”とのバランスを熟慮したステートメントを作れない無能さを嘆くわけです。
 ここは広報担当の出番です。一歩下がって、外から今の自社が置かれている立場、社会の現状、想定しうるメディアの反応、そこから導かれる世論を頭に描いてみましょう。そして、企業として発して良い言葉、絶対に避けたいフレーズ、会社の動きを整理し、経営者に伝えましょう。「メディアと世論が反発したら、訴訟以前に会社がなくなります!」これを言って聞かない経営者はいません。そして、経営者とともに弁護士の先生に掛け合いましょう。そこで初めて、企業としての責任あるコメントが生まれるはずです。(佐藤)